岡本行夫は、2020年4月24日(金)午前9時59分、新型コロナウイルス肺炎のため逝去いたしました。
ここに生前のご厚誼を深く感謝するとともに、謹んでお知らせいたします。
なお、春陽堂書店「Web新小説」に連載中のフォト小説「スーパーフィッシュと老ダイバー」は、故人は生前、熱い思いで、毎月1回の掲載を想定の下、最終章まで書き終えておりました。今後も連載は継続いたします。
長年撮影してきた何千枚とある海中と陸上写真の中から故人が選りすぐった写真と共に小説は展開していきます。
舞台はこよなく愛したエジプトのシナイ半島突端のラスモハメッド岬と紅海、テーマは「愛」と人間の身勝手さです。
春陽堂サイト:
https://www.shunyodo.co.jp/blog/2019/12/news_web_shinshousetsu/
(お読みいただくには、月額1,000円の有料会員への登録が必要になりますが、
春陽堂社のご厚意で、現在は、創刊号(2月号)から5月号を無料でお読みいただけます。)
【著者の言葉】
この物語の舞台である「ラスモハメッド岬」は、紅海最北端のシナイ半島の、いちばん突端にある。
シャルム・エル・シェイクの町から、直線で南に15キロのところだ。
僕は、今に至るまで、かれこれ、20回くらい通ったろうか。
最初は1981年。カイロの日本大使館に勤務していた時だ。週末には、カイロから東に向かってスエズ運河を横切り、砂漠の中を運転して、500キロ先のラスモハメッドに通った。
潜って、度肝を抜かれた。抜けるような透明な海。海中での視界は70メートルもあったろう。「老ダイバー」が腰かける海中の絶壁のくぼみに身を置くと、目の前に真っ青に広がる無限の青。全くの別世界で、目の前を様々な魚の群れが通過していく。
そばには「シャーク・リーフ」があって、そこで出会ったのが巨大なナポレオンフィッシュだ。僕と、当時カイロにいた外国人ダイバー仲間は、その魚を「ジョージ」と名付けた。
シャーク・リーフを回りこむと、穏やかな浅瀬の「ヨランダ・ガーデン」に出る。太陽光がキラキラと底の白砂に反射し、珊瑚の中を無数のサカナが群れる楽園だ。そこが最終章の舞台だ。
あの壮絶な大自然に身を浸してしまうと、人間が海を破壊するさまに、悲鳴をあげたくなる。
ジョージと老ダイバーが、どのような物語を紡いでいってくれるのか。僕も楽しみだ。
「スーパーフィッシュと老ダイバーより」