日本中を驚かせた7月5日の北朝鮮のミサイル発射演習。その狙いは、アメリカを直接交渉のテーブルに引き出すためだとか、色々言われた。しかし、演習の意義は、そうした政治面より、やはり軍事面にあったのではないか。しかもシャクなことに、その面では、テポドン2の発射失敗にもかかわらず、全体としてみれば成功だったのではないか。
北朝鮮は、異種のミサイルを複数の基地から整然と短い間隔で発射することに成功した。コマンド・アンド・コントロールの上で、大きな自信をつけたのではないか。
彼らの元々の狙いはテポドン2の発射にあったのだろう。北朝鮮は、元々、アメリカと日本のミサイル迎撃能力と意図を過大評価している。だから、虎の子のテポドン2を発射してアメリカに撃ち落とされてしまったら大変だと警戒していたのではないか。だから、まずは一発目にスカッドを打って、それから更に30分後にもう一発撃って、何事も起こらないのを見極めてから、安心してテポドンを撃ったのではないか。と、これが僕の想像だ。テポドン2の発射自体は失敗したが、改良するためのデータも得ただろう。
政治的には、北朝鮮は国際社会からの制裁を受けることもなく、六カ国協議メンバーの日・米・中・韓・露の溝を拡大した。金正日は、五カ国の足並みの乱れを見抜いていたのだろう。最後には何とか非難決議でまとまったものの、北朝鮮を巡る国連安保理での思惑は錯綜した。
北朝鮮は出来るだけ早い機会に小型化した核弾頭と、それを運搬する長距離ミサイルを完成させ、核保有国としての立場でアメリカとの交渉しようとしている。金正日は、なんとも手強い相手である。
日本がやるべきことは、ミサイル防衛網の早期完成だ。誰に遠慮することもない。
中国はそうした日本の防衛努力を軍備拡張的と非難するが、おかしな論理だ。日本を攻撃しようとさえ思わなければ、日本がどのような防衛体制をとろうと中国には関係ないはずだし、それが地域の軍備拡張になることもない。
ミサイル防衛網は日本を完璧に守るわけではない。しかし大事なのは、日米でそのための共同作業をしていること自身が抑止力になるということだ。
北朝鮮の荒っぽい行動で結果的に迷惑するのは、その度に日本の防衛能力が強化されることによって自分たちの軍事態勢を再検討しなければならなくなる中国だろう。暴れん坊の弟分を持つとロクなことはない。 |