僕はテクノロジーに大いなる興味を持っている。僕が最先端のテクノロジーを勉強する方法は二つある。ひとつはアメリカの軍事技術だ。国防省の公開資料だけでもアメリカの軍事技術の方向性はかなり推測できるが、これだけでは不十分だ。さらにアメリカ各地の研究所や大学や国防企業の資料を調べるとかなりのことが分かってくる。
90年代、アメリカの軍事技術は、いかに兵員の損傷を極小化するかというテーマと取り組んできた。そのためには、戦場を無人化して機械に戦闘を行わせることが最良の方法になる。考えてみれば、これは深刻な政治・倫理的な問題を提起する。しかし、技術面だけに着目すれば、今のアメリカ軍事技術は、ITの進化と新しい材料工学の発展に支えられて、この方向に大きな進歩を遂げつつある。
僕のもうひとつの勉強方法は、シリコンバレーのベンチャー企業を通じてだ。僕は「ウエブ進化論」の著者の梅田望夫さん、それにアメリカ人とインド人の3人のパートナーたちと「パシフィカファンド」というベンチャー投資ファンドを作っている。僕たちは、原則として「Eビジネス」のようないわゆるビジネスモデルベンチャーには投資しない。主眼はあくまでもテクノロジーだ。
僕は時々シリコンバレーに出張して(先月の出張の模様は「フォト報告」で見てください)、アメリカのベンチャーの逞しいテクノロジーを見せてもらう。僕らのファンドは、もう投資の貼り付けは終わったので新規投資先を探すことはしていないが、これまでに投資したベンチャー企業群が逞しく成長している様子をこの目にすることは、大変楽しみであり勉強になる。幸い、パートナーたちの卓越した選別眼のおかげで、僕たちが投資したベンチャー企業群は、ほとんどが順調に成長している。「エクジット(株式上場や高額で別の企業に買収されること)」する企業も遠からず出始めるだろう。
シリコンバレーで感じるのは、ベンチャー企業経営の厳しさだ。出資した投資家はベンチャー側に見るべき成果がなければ、遠慮なく創業者や社長を取り替える。起業と経営の能力は別である。だからシリコンバレーでは経営能力のあるCEOが常に探し求められている。適任者が見つかるまで半年待つこともざらだ。そして、新しいCEOを得て企業は再び成長を始める。
いつまでも創業社長が座って投資家にリターンも出さない日本のベンチャー企業とは随分違う。経営の基礎には「厳しさ」があるべきだろう。 |