Yukio Okamoto Online
トップ世界を見る視点執筆とインタビューフォト報告プロフィールリンク

世界を見る視点

2006年3月
欧州の深刻な課題

皆さんがこのページをごらんになる頃、僕はヨーロッパにいます。アムステルダム、ブラッセル、ストラスブールの各地で講演を頼まれたためです。僕自身としてはヨーロッパがどの方向に行こうとしているか、少しでも実感してきたいと思っています。

欧州連合(EU)は、1993年11月に発足しましたが、それから10年以上経ったけど、実質的な一つの国家としてのまとまりと強さは、期待されたほどにはなっていないようです。もちろん欧州の様相はずいぶん変わりました。外国人である僕にパリの街角でフランス人が英語で話しかけてくるのにびっくりします。僕がパリに住んでいた三十数年前のフランス人の偏屈なまでの自国語への傾倒から考えれば、驚天動地です。同じ通貨(ユーロ)で欧州各国を旅行できることも、昔を知るものにとっては信じられないことです。

しかし、そのヨーロッパに深刻な社会不安の影が忍び寄っています。欧州各国のイスラム教徒、特にアラブ人が引き起こしてきた激しい反政府デモのことです。

米国は1960年代、国内のアフリカ系アメリカ人(黒人)の社会的地位を確保するための激しい公民権運動の中にいました。僕はその時にアメリカにいましたが、多くの犠牲を経て人種差別は大幅に改善されました。欧州はまだこの段階を通過していません。

ヘタをすると今回のようなイスラム教徒の暴動はこれからも続いていくかもしれません。欧州のある新聞は「欧州の冬の時代の到来」と書きました。そうなると欧州連合が外に向かって投影する力はますます削がれます。欧州の最大の課題だと思います。

2006年3月

Copyrights (C) 2008 Okamoto Associates, Inc. All Rights Reserved.当サイトのご利用についてサイトマップ