Yukio Okamoto Online
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世界を見る視点

2006年8月
歴史の勉強からはじめよう

今年ほど歴史認識や靖国神社問題について多くの議論がなされたことはない。中国で大規模な反日デモが荒れ狂ったのも、終戦60周年の記念の年も、今年ではなく昨年だった。この一年遅れの大議論はなぜなのか。小泉さんが8月15日に靖国に行くだろうという観測のもとに、これまで論議しつくされてこなかった戦争の問題について、国民がたまった気持ちを吐露し始めたからなのだろうか。

昭和に入ってからの日本のアジアに対する侵略行為(昨今はこう表現するだけで左翼呼ばわりされるが、先の戦争が「侵略」であったことは、日本政府自身が何度も宣明してきている。「あれは止むを得ない自衛戦争で、侵略などではなかった」と主張する人々は、「侵略だった」と言う人間を個別に非難するのではなく、まず当の日本政府に抗議すべきだろう。)の詳しい経緯と責任についての議論は、いままで行われてこなかった。しかし、これこそ全ての根っこにある問題だ。8月の半ばに読売新聞が行った大々的な検証記事は、その意味で大変に立派な企画だったと思う。

靖国問題をどう考えるかは難しい。あるA級戦犯の遺族が論文で発表している提案を紹介しよう。東郷茂徳元外相の孫である東郷和彦氏もので、国民的な論争が決着するまで総理大臣の靖国参拝を凍結(モラトリアム)したらどうかというものだ。和彦氏が僕の友人だから言うわけではないが、ご遺族の側にこの様な現実論がでてきていることに注目したい。

7月末にジャーナリストの田原総一朗さんと一緒に、香港のテレビ番組に出演した。(フォト報告参照)。中国の専門家との間で、日中関係について徹底的に議論する番組だ。テレビ局に言わせると、大陸では四億の中国人が見たそうだ(話半分としても二億人!)。

放映後、多くのコメントが中国の視聴者から寄せられたが、去年の同様の企画よりずっと冷静で、「日中関係は改善すべきだ」という意見が増えた。

日本でも、いたずらに「中国は嫌いだ、けしからん」というだけではなく、中国や韓国の言い分を十分知ることがまず必要だ。彼らの感情の深い部分を知った上でなければ、日本側からの反論も説得力が弱くなる。

昭和の歴史についての秀れた著作はいくらでもある。まずは歴史の勉強からはじめよう。

2006年8月

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