岡本行夫公式サイト

2017年7月12日

G20首脳宣言

(2017年7月12日「ユアタイム」より)

 北朝鮮についてはG20首脳宣言にさえ盛り込まれなかった。国際社会が足並みを揃えられなかったことで、中国は制裁問題についてアメリカの足元を見ていると思います。中国だけでなく、ロシアもそうです。北朝鮮の行動に対しては、「責任はアメリカ側にもあるんだ、米韓合同演習をやめろ」と、そんなことを言ったりしている。

 とはいえ、プーチン大統領に関しては、いささか同情に値するところがあります。プーチンが大統領になった直後の2002年頃、ロシアは本気でアメリカとの間で新しい協調関係ができると思っていました。9.11直後のアフガニスタン進攻についても、アメリカに対してプーチン大統領は最大限の協力をした。しかし、あにはからんや、バルト三国をNATOに入れられ、ロシアはNATOと直接国境を接するところにまで追いやられた。「もうアメリカになどと協力するものか」というのがプーチン大統領の心の奥底にあると思います。今度も、民主的に朝鮮半島が統一されるよりは、今のまま緩衝国として北朝鮮がいた方がいいんだという考えがロシアにもあるのだと思います。

 北朝鮮の核・ミサイル開発問題は、アメリカと北朝鮮が直接話し合えば、すぐに解決するかといえばそんなことはありません。北朝鮮はアメリカ本土まで到達するミサイルとそれに乗せる小型化した核弾頭を開発するまでは絶対にやめないと思います。核保有国となった北朝鮮とアメリカが、北朝鮮が持ってしまった核をどのように削減していくかという長い難しい交渉をしていくことになるのでしょう。もちろんアメリカはその間に時間を稼いで、自分たちを完全に守れるようなミサイル防衛網を作っていく。こういう展開になるのではないでしょうか。