岡本行夫公式サイト

2020年2月16日

米大統領予備選挙

(2019年2月16日TBSテレビ「サンデーモーニング」より)

 現在の民主党候補者を、全米全体の支持率で見ると、バーニー・サンダース(78才)が23%でトップ、支持率は伸びてきています。次にジョー・バイデン(77才)19%、本命だと思われていましたが、支持率は下がってきています。現在3位のマイケル・ブルームバーグ(78才)は14%、上がってきていますし、これからだと思います。唯一の女性候補、エリザベス・ウオーレン(71才)は12%で、支持率は下がってきています。話題のピート・ブティジェッジ(38才)は米全体でみると11%ですが、支持率は上がっています。

 まだ予備選挙は始まったばかりです。山場は、スーパーチューズデーと呼ばれる3月3日です。今まではテキサスを始め14州がこの日に同時に行っていましたが、今回から、最大の有権者2000万人を抱えるカリフォルニアが入ってきました。民主党全体の代議員3979人の3分の1が、この日に決まってします。そこで勢いをつけた人がそのまま有利になるでしょう。

 問題は、共和党は一部の州で勝者総取りを採用しており、1つの州で勝つと、その州の代議員は全部自分がとることになるので、比較的早く勝敗は決着がつきます。

 ところが、民主党は15%以上獲得できれば、得票数に応じて比例配分されます。各州の予備選挙で1位になれずにずっと2位で来たとしても勝てる可能性は残っているため、最後までもつれ込むことがあります。これはまさにトランプが喜ぶ状況です。前回2016年の予備選挙の際も、ヒラリー・クリントンとサンダースが最後まで争い、もつれた結果、サンダースの支持者は「自分たちはヒラリーには投票しない」と本選挙の際に投票所に行きませんでした。それがトランプ誕生につながったとも言われています。トランプは今の状況を喜んでみているでしょう。

 その他に、今回、非常に深刻だと思うのは、今まで「左」と「右」と言っても、思想や政策にかなり重複する部分があったのが、今は完全に分かれてきています。それが民主党の中でも起こってきていることです。候補者を見ても、サンダース - 左派、バイデン ― 中道、ブルームバーグ-中道、ウォーレン ― 左派、ブティジェッジ - 中道と別れ、お互いの攻撃が非常に激しくなってきています。今までの選挙は、個人、選択の問題でしたが、今度は、階級、制度などの間の戦争の様相を呈してきているのではないかと思います。特に、 サンダース候補は「左のトランプ」と呼ばれている人で、熱狂的な支持者がたくさんいて、動員力が凄く、メッセージも非常に強い人です。

 11月の本選挙で、サンダース VS トランプとの戦いとなると、トランプの岩盤支持層、ブルーカラー、白人、低所得者たちと、サンダース支持を代表しているのがミレニアム世代、全米で7280万人居ると言われ、今や最大の投票ブロックになってきている81年~95年生まれの若い20~30代。この2つが対決することになると、その後のアメリカの分裂は尾を引くことになるでしょう。