岡本行夫公式サイト

2017年9月20日

トランプ氏 国連で“北への警告演説”狙いは?

(2017年9月20日「ユアタイム」より)

 トランプ大統領の初めての国連演説、大変注目されていましたが、ここまでひどいとは思いませんでした。もう少し何かましなことを言ってくれると思っていました。アメリカ第一主義、これはトランプさんが就任演説のときから言ってきたことです。「アメリカだけじゃない、みんな自国第一主義でいこう」と、「アメリカがその輝く見本になってやろう」と、そういうことを言っています。

 民主主義、自由、法による支配、環境の保全、貧困国支援、あるいは人権重視といった普遍的価値や理念に向かって国際社会をまとめていこうというのがまったくないわけです。「みんなそれぞれ自分たちでいいようにやれば良い」と、ただ「対話だけはしよう」と、こういう話です。

 北朝鮮に対して罵詈雑言を言う気持ちはわかるとしても、アメリカ第一主義は、みんなで仲間として進んでいかなければならない国連の190カ国に対して言ったってしょうがないでしょう。本当に品がない悪い演説だったと思います。あの演説を聞いて、みんなが北朝鮮に対して協力して制裁を強めていこうとか、どうやって現実的に考えていこうかという気持ちにはなりません。

 イランに対しては、ちょっと言い過ぎだと思います。イランという国は、たしかに宗教界が非常に保守で反米的な立場をとっていますが、今のロウハニ大統領はなんとか現実的にアメリカとの折り合いを付けようと、これまで努力してきている人間です。その人をさらに過激派のところへ追いやってしまう効果しかありません。イランとの核合意を「最悪の合意だった」として、口を極めて非難していますが、あれはヨーロッパの各国と一緒になって取り組んだことですから、ヨーロッパ各国に対しても悪口を言うようなものです。とにかくこの演説は品がありません。

 イスラエルへのリップサービスという指摘もありますが、イランに関してはそうでしょう。これはクシュナー大統領上級顧問がイランに対して非常に強い態度をとっており、それが影響しているのかもしれません。しかし、そうやって片っ端から人を正面から切りつけていって、「お前はダメだ」と蹴飛ばしているだけでは国際社会はまとまっていけません。とにかく言葉が悪い。