岡本行夫公式サイト

2017年9月27日

フィルムで撮る海中の美 カメラマン岡本行夫

(2017年9月27日「ユアタイム」より)

 いずれも紅海で撮った海中写真です。シャルム・エル・シェイクという場所のそばです。紅海というのは世界で一番きれいな海なんです。両岸が砂漠ですから、流れ込む川が一本もなく、住んでいる人もおらず生活排水も流れ込まない。

 それから私は全部フィルムカメラで撮るんです。フィルムカメラはもう20年間製造されていません。だから今はプロもみんなデジタルを使うんです。だけど僕はこのきれいな海の青を0と1の電気信号に分解されてたまるかと思って、いまだにフィルム写真で撮り続けているんです。

 現地では現像できないので、日本に帰ってくるまで、うまく撮れたかどうかわからない。そして、36枚しか取れないんですが、最初の1枚の露出を間違えたらあとも全部ダメということです。

 紅海というのは面白い海で、南はインド洋に接しているが北はスエズ地峡で閉じられている。一方、断面図でみると、外海に接しているかに見える南でも、ほとんど接していないのがよくわかります。紅海はものすごく深い海で、紛争のときによく出てくるバブ・エル・マンデブ海峡は実際には130mの水深しかありません。