岡本行夫公式サイト

2017年8月30日

トランプ氏 「対話なんて大間違い!」

(2017年8月30日「ユアタイム」より)

 北朝鮮に外交の対話を持ちかけても、彼らは応じない。制裁を強めるしかないでしょう。石油の禁輸は選択肢の1つです。日米間で石油の禁輸について話し合うことはあり得る。しかし、実際に石油を止めることが出来るのは中国とロシアしかいません。彼らがついてくるのかどうかが問題です。

 北朝鮮は、「今回のミサイル発射は米韓合同軍事演習に対して行った」と位置づけ、中国とロシアは、「米韓合同軍事演習は止めるべきだ」「米韓と北朝鮮の双方に改善点がある」と言っています。北朝鮮が米韓合同軍事演習への対抗措置だと主張すれば、中国とロシアは北朝鮮に対して強く出ることはせず、一段強い制裁措置などにも加わらない、というしたたかな計算が北朝鮮にある気がします。

 中国とロシアは「まずは、この間の安保理決議の制裁効果を見るべきだ」と主張して、新しく石油制裁の話を持ち出しても応じないと思います。北朝鮮はそのあたりの足元を見ているのでしょう。

 日本上空を通過したミサイルの狙いは、明らかに日本を意識していると思います。北朝鮮が「グアム島」と何度も言う理由は陽動作戦でしょう。本気でミサイルを打つならば、グアム島はあまり意味のない軍事ターゲットです。グアム島はアメリカのB1とB2爆撃機がローテーションで来ていますが、北朝鮮から3400㎞離れているため、ミサイルが到達するまでに17分かかります。爆撃機が狙われても、その間に飛び立てば良いわけです。「グアム島」と何度も言っておきながら、実際にグアム島に向けてミサイルを発射しなければ、「北朝鮮は自重していて我々と対話をするのかもしれない」とアメリカに思わせることになって時間稼ぎになります。北朝鮮はミサイルを一刻でも早く実践配備したいと考えている。また、制裁の影響もあると思います。北朝鮮のGDPは韓国の50分の1しかなく、そのうち22%を軍事費に充てている。このような体制は長く続かず、早く長距離核ミサイルを手にしたいと強く思っている。そのため、実戦に使えるミサイルの精度を上げるための発射を行っています。日米韓の鎖の中で、一番何もできない日本を脅す目的もあるのでしょう。「日本に目にもの見せつけるのだ」と北朝鮮側が言い出したことは初めてです。これからも続くと思わなければいけません。
 
 アメリカは今まで北朝鮮に対して、重油を50万トン供与したり、食糧を渡したり、原子炉まで供与しています。それはアメリカが自分たちから行ってきたことで、北朝鮮からの強請ではなかったはずです。今は北朝鮮に対して、「何をやってもダメだ」という気になっているのでしょう。だから制裁やこちら側からの譲歩は、対話のための手段という位置付けにはなっていないでしょう。