岡本行夫公式サイト

2017年8月23日

ポスト習近平 注目は?

(2017年8月23日「ユアタイム」より)

 今回の人事は、「習近平国家主席が自分の権力基盤を完全に固められるのか」という点で大変重要な人事です。太子党と江沢民派というように、いかにも対立するような分け方がされますが、もともと習近平は江沢民の懐刀であった曽慶紅の強い引きで現職に就きました。その過程において、薄熙来という自分と同じ太子党グループのライバルを壮絶な権力争いで蹴落としてきた。どことどこが対立しているのか、単純な派閥の色分けだけで対立関係を絵解きすることは難しいです。

 私が一番注目していることは、果たして習近平主席が次の世代にバトンを受け渡す準備をするかどうかです。栗戦書、汪洋は習近平の完全な支持者ですから、彼らが常務委員に入る可能性は非常に高いと言われている。7人の常務委員のうち、王岐山が残れば、習近平、栗戦書、汪洋、王岐山の4人で多数派になります。その他に側近中の側近である陳敏爾が入れば、常務委員は習近平の意向通りになり、より権力が集中することになります。

 現世代の次世代である第六世代のホープには胡春華と孫政才がいましたが、孫政才は失脚させられた。そのため、ホープの中で政治局委員に残っているのは胡春華だけです。今までの例であれば、胡春華が常務委員に引き上げられ、5年後の党大会で習近平氏の後継になるということでした。胡春華が引き上げられるかどうか。もし引き上げられなければ、習近平自身が引き続き権力を握り続けるという大きなサインになります。胡春華の去就に注目です。